2012.06.27 Wednesday 23:10
現在フランスの歴史遺産にも登録されているサヴォア邸。
けれど、この家がたどった歴史は決して幸運とは言えない。
サヴォアさんの週末住宅として設計を依頼され設計に3年、工事に3年の月日をかけてようやく完成したものの、その後一年間ひどい雨漏りに悩まされ続けとうとうサヴォア夫妻には見放されてしまう。
そして、戦争。
初めはドイツ軍に、その後連合軍の拠点として使われた事もある。
・・・生まれては来たものの苦難が続いたこの家が、今は世界中からこの家を見る人が集まり、建築関係者はこの家をテーマに論じ続けている。
そして、サヴォア邸は、誰にでも好まれる家ではない。(残念ながら建主にすら愛されたとは言えない。)けれどこの家が後に与えた影響は計り知れない。
・・・だからこそ、建築はかくも深い。
さてさて、サヴォア邸の外観。
ピロティによって、宙に浮いたように見える住宅には、入口はあるがはっきりとした顔がない。しかも一番裏側に見える角度からアポローチすることになる。
コルビジェは、この芝生の上にこの家をただ置きたかったのだ・・というようなことを言っている。
出来得る限り、あの当時の「家」の概念から外れて自由になりたかったのだろう。
たとえば、やはりキュビズムのピカソのように。