3月うさぎ

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冬 <フィンランド・レポート56>
3月うさぎ
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夏のフィンランドでさえ、あんなに涼しかったのだから、冬の寒さはいかばかりか、と滞在中ずっと気になっていた。
寒いだけではない。太陽がほとんど顔を見せない半年があるなんて、四季に恵まれたこの国に住んでいるとうまく想像することもできない。
勿論、フィン人にとっての冬はずっとそういう厳しいモノなのだから、私たちよりもずっと耐え忍ぶ力は強いのだろうけど、それでも、この冬の暗さと寒さに耐えきれず精神を病む人も少なくないと聞く。うつ病になる人が多いのだそうだ。

この写真を撮影した日は冷たい雨が降る一日だった。
この日はもうすぐ(フィンランドにいると夏でも冬が「もうすぐ」なように感じられるのだ)待ち受けている冬のことばかり考えていた。
こうして風景がグレーになると、心の中まで同化してしまうのかもしれない。人間は環境の動物だから。

ムーミンの中に「モラン」という登場人物がいる。(人物と云っていいのか・・・)
大きな毛布お化けみたいなモラン。
「不毛で心を凍らせる孤独の象徴なのか。暖まろうとして近づくと火が消えてしまうのがモランの不幸である。だれからも愛されず、だれも愛さないという意味で怖ろしいというよりも哀れな存在。」<冨原眞弓訳>
モランはみんなが嫌いな冬の権化のように描かれている。
長くて灯りも窓もないトンネルみたいな冬。
モランみたいな冬。
フィンランドの冬。

フィンランド旅行4
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トーベ・ヤンソン <フィンランド・レポート57>
3月うさぎ
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「秋になると、旅に出るものと、のこるものとにわかれます。
いつだって、そうでした。めいめいのすきずきでいいんです。
『ムーミン谷の11月』



ムーミンの生みの親トーベ・ヤンソン。
彼女はヘルシンキの自宅以外に、夏を過ごす小さな小さな家をフィンランド湾の小さな小さな無人島に持っていた。
彼女はそこで55歳から77歳までの22回の夏を過ごしている。

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日本人は孤独を嫌う。
「孤独」に意味があるなんて、誰も云わない。
でも、ムーミンのお話は、孤独を知らない人からは生まれることはないのだと改めて思う。
日本でリメイクされたムーミンは、始終ムーミンと仲間たちのほのぼのした話だった。
でもオリジナルのムーミンはそれだけでない。
一人一人が、実は心に孤独を抱いていて、世界も光と陰が明らかに半分半分でその境界をそれぞれが行ったり来たりしている。それはまるでフィンランドの夏と冬のように、どちらかがあって、どちらかがないなんて考えられないという風に。
おおらかなムーミンパパでさえ、ときどきふと平和すぎるベランダで飲む紅茶がたまらなく嫌になって放浪の旅に出ることがある。包容力の母の代名詞のような世話好きのムーミンママもまた、灯台に住んだ時には手持ち無沙汰のあまり自分を見失い、薪でとりでを作った。でも、またムーミンパパはふらりと家に戻り、ムーミンママもまたいつもの優しい気配りを取り戻す。

子どもの頃、灯台守になりたかったというトーベ・ヤンソンが、もし社交的でパーティにばかり出かけているような生活を送っていたら、賑やかな家族に囲まれていたらムーミン谷の誰一人この世に生まれては来なかったのではないかと思う。
暗い夜の海こそ灯台の灯りの有り難さを心底知っている・・・そういうことなのだと思う。

トーベ・ヤンソンの夏の小屋にはずっと鍵がなかったという。
彼女達がいない間も、航海中に嵐から身を守りたい人やあたたかいコーヒーが飲みたくなった人のために、扉はいつも開けられていたという。
(ただ、ある時、泥棒が立て続けに入り、部屋を荒らしたので仕方なく鍵をつけることになったのだそうだ。)
無人島に住んでこんなことが考えられるなんて。これはまさに「灯台守」の発想。

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小屋の棚からみつかったという箱。

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薬棚のミイ。

写真はすべて、クウネルvol.23「ムーミンのひみつ」より。






フィンランド旅行4
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ビーチバレー <フィンランド・レポート58>
3月うさぎ
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ここに来たとき、初めてフィン人が騒いでいるところを見た・・・と思った。
ヘルシンキの町中で、そこだけやけに空気が湧いている。
近づいてみると、なんと土まで運んでコートを作ってビーチバレーをやっているではないか?

フィンランドでビーチバレー???なんで??
オリンピックのシーズンだったからかなあ?
水着になるのも寒そうな国なのに・・・。

でも、たまには騒ぐところも見せてもらえてよかった。
フィンランド旅行4
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ビール <フィンランド・レポート59>
3月うさぎ
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これはある日の夕食。
旅の後半、そろそろ西洋の味付けに飽きてきて
この日はインド料理に逃げ込んだ。

ビールは、インドのビールが良いか?フィンランドのビールがいいか?
と、聞かれて、夫がフィンランドの・・・と応えるとこれが出てきた。
lapin Kulta
特に特徴はなかったけれど、インド料理にはよく合っていた。

フィン語のメニューしかなかったので、
お店の人に、英語のメニューはないの?と聞くと、
ごめんなさい、ないんだけど私がトライします!と
すべてのメニューをがんばって英語で説明してくれた。

彼女はインド人と西洋人(フィン人?)の混血のように見えた。
大抵のフィン人より愛嬌のある若い女の子で、
私たちの口に合ったかどうか心配してくれるような感じだったので
美味しかったよ!と応えたら、極上の笑顔が返ってきた。





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売家 <フィンランド・レポート60>
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ユヴァスキュラの町を歩いている時に見つけた不動産屋の売り広告。
売値はよくわからないが、
たぶん敷地面積が、3525平米
そして、家屋の面積が135平米・・・
って、書いてあるんじゃなかろうか。

家の面積は、日本と変わりないが、それ比べて土地の面積が、・・・あ、ありえない!!
う〜ん、やっぱり、値段知りたいよぉ!!

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アアルトの本棚 <フィンランド・レポート後記>
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アアルトの自邸のリビングルームにあった本棚。


編集後記

フィンランド・レポートも、60レポにまで到達しました。
(まだもうちょっと位ならいけそうな気もしますが、)吹く風も秋の色に変わってきましたので、夏の旅行の報告はそろそろこの辺でおしまいにしようかと思います。
本当に長い間おつきあいいただき本当にありがとうございました。

毎年、私たち家族は夏には同じような旅行をしているのですが、今年はこのブログおかげで大勢の方々に私たちの旅の話をお伝えする機会ができて、いつもより、旅の余韻を余計に楽しむことができました。

何人かの方に、昔への遡り方がわからないとの質問を受けました。
一番上の「3月うさぎ」のタイトルの右横の1〜7の数字の中の「1」をクリックするとカレンダーが出てきます。お手数ですが、「<<」の記号で8月に戻してみてください。13日のところをクリックしていただくと、フィンランド・レポートの第1日目にたどり着きます。その後、だいたい1〜2日に一回のペースで更新していると思います。ちょっと面倒臭いですが、順に日付をクリックしていただくとレポートが完成すると思います。わかりにくくてごめんなさい、、、

20日(土)には、自宅でフィンランドのスライド会も催し、20人近いゲストが訪ねてくれました。建築の話題が中心になりましたが、夜遅くまで親しい人たちとワイワイ楽しいひとときが持てました。
この旅のスライド会も毎年恒例で、これが終わると「ああ、今年も夏が終わった」という気持ちになります。
来年もまた、同じように旅のレポートをお届けできるといいのですが。

それまでは、また普通の平凡な日常を大事に生きていきたいと思います。
たくさんのエールに感謝。









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スケッチブック <フィンランド・レポート付録>
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娘(10歳)のスケッチブックより。


旅先ではいつも旅のノートをまとめています。
何年か前からは、娘も私の真似をして書き始めました。
少なくとも一年前より、こんな風に建築物そのものにも興味を示すようになり(父親の思うツボ?)文字も絵もだいぶ大人っぽくなってきた気がしています。






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写真集 <フィンランド・レポート付録>
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付録をもう一つ。。。

娘の学校の夏休みの宿題(社会の自由研究)は、フィンランドの旅行記だったのですが、それだけではちょっとヴォリューム不足かな?と思って、旅先で撮り溜めたフィンランドのファサード(建物の立面)を一冊の写真集としてまとめてみました。
イタリアではこれのドア編を作成したのですが、フィンランドはたぶんドアや窓だけではそれほどパターンが出て来ないだろうと思い、ファサードをテーマに決めました。
こんな感じの写真が60カットくらい収録されています。
住宅のみならず、教会やお店、トイレなども含まれていますが。
これはフィンランドに限らず、他の国でも引き続き撮り溜めていくと、結構資料価値は出てくるのかな?と思ったりもしています。束になると、工法のみならず、素材感や、色合いなどもお国柄が出てきそうですものね。
(しかし、これ、案外エネルギーを必要とするものなんですよね、、、)


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