夕刻、列車でマラケシュに到着。
マラケシュ駅は意外に近代的で美しい。
タクシーを捕まえ、結構きれいなギリーズ(新市街)を抜けて、リヤド(古い邸宅を宿にリフォームしたもの)のあるメディナ(旧市街)へ。
ギリーズとメディナとの境は、高い塀が作られ、メディナ内は時間も空気もまるで別世界。
分り易く言うと、この塀をくぐったとたん近代社会からインドのスラムにでも入ったような喧噪が待っている。
狭い道を車でかき分けるようにアプローチするが、狭い路地の入口で荷物と共に降ろされる。ここからは車で入れないから歩いて行ってね、と。
次は、ホテルはどこどこ??と道にいる大人や子どもは口々に話しかけて来る。
リアドの場所はちゃんと地図にチェックしてきたのに、こっちこっち!と子どもたちに強引に促され、路地の奥へ。奥へ。(もちろん彼らの狙いはチップなのだけれどね。でもなんか無邪気で憎めない感じではある。)
狭い路地をいくつか曲がった突き当たり辺にようやく現れたRiad72。
モロッコでは妬みを買わないように、と表からはほとんど中の様子が判らないようにしてある。Riad72もただそこにしぶい扉があるだけ。「72」という番地はついてるものの「Riad」とすら書いてもいない。
これはもう隠れ処ぽいなんてものじゃない。
ドアを開けてすぐ見えるところにもリアカーが置いてあったり・・とか、まだそっけない感じ。しかし、その先、ドア口から見えない角度に折れ曲がると、一気にギリーズともメディナともまったく異次元の世界が広がる。
中庭の椅子に促されて座ると、黒装束で微笑みをたたえた女性がいきなり香りの良いお水で手を洗ってくれる。
これは、何の香りだろう・・・柑橘系の体をリフレッシュしてくれるような素敵な香り。
お茶にしますか?と勧められるが、長旅の汗を落としたいのでまずはシャワーを・・というと、部屋に通してくれた。
Riad72には4室しかない。
私たちは、ここで2泊。
はじめの部屋は、Room Zahwa。
メゾネットタイプ(部屋の中が2階建て)の部屋。
ソファと物置が下、ベッドとトイレ、ハマムと呼ばれる浴室が2階という構造になっている。
ドアの外の喧噪が夢のよう。
あるいは、このリアドの中が夢のようという方が正しいのか。
Riad72