アトラス山脈を越え、ワルザザートの街を過ぎてザゴラに向かう途中、
道の途中で往生している車が数台。
どうしたのかと思って聞いてみると、さっきの夕立で道の一部が突然川に変わってしまっているので、横断をためらう人々が立ち往生している様子。
豊かな森林を持つ我が国では考えられないことだけど、保水力のない大地では、急な大雨が地面にしみこまず、行き場を求めて急激に川を作る。それが道路にまたがってしまったのでみんなを慌てさせているようだ。
でも、地元の人は慣れているのか、平気で渡って行く車もある。
感心したのは、警察でもない普通の人たちが、(たぶん)自主的に後から来る車の整理に当たっている。
夫は、モンゴルの研究調査に通っている時に、何度も向こうでこういう目には遭っているのでまったく動揺もなし。
「どうする?」と聞かれたので「大丈夫、渡れる」と応えると、それでも、僕が運転替わろうか?と言ってくれたり、車のエンジンの高さを確認したりしてくれる。とにかく彼らは親切だ。
夫が、自分で大丈夫!と告げると、とにかくスピードを緩めずに一気に行け!と親身になってアドバイスをくれる。
私は、ちょっとドキドキしてしまったけれど、越えてしまえば言う程のことでもなかった気もした。
それよりも、こういう厳しい大地を整備することで守るというよりは、厄介を人の力、みんなの力で智恵を出し合って乗り越えようとする彼らの姿に頼もしいものを感じた。
まず自分さえよければというところがまるでない。
川ができたのは彼らのせいでもなんでもないのに、たぶん彼らはこの川の水が引くまで来る車、来る車のケアをし続けていくんじゃないかと思える。
とにかく無事に渡れてよかった!!
まだまだザゴラは遠いぞ〜