2008.08.15 Friday 18:04
これは「トゥルクの葬祭場」と呼ばれる復活教会である。
英語では、The funeral-chapel of ABO(TURKU)
これはアアルトの作品ではない。
エリック・ブリグマンという建築家によって1941年に建てられたチャペルである。
美しい木立の中にすくっと建っていて、その立ち姿も美しい。
周りは「墓場」。日本の墓場だとどうしても用もないのに立ち入りたくない気分になるものだが、北欧の墓場は墓場までやけに爽やか感がある。これまでに墓場をこれほど心地いいと感じたのは初めてかもしれない。
やけに癒されている自分に気づく。
ドアには無情にこの日が実は教会のお休みの日だと書かれていてショックを受ける。
わざわざ来たのに〜。
ガラスからうらめしく中を眺めるが、ある程度はみえるものの、ある程度以上はよく解らない。(当たり前か・・・)
そんな風に未練がましくウロウロしていて、もう仕方がないかと諦めて帰りかけた時に、裏側の小さな窓に明かりを見つけた。
誰かいる!
ガラスをトントン叩いてみると、中から管理人らしき男性が出て来てくれた。
「中を見せてくれないか」と頼むと、どうやら英語が解らない様子。表情があまり変わらないので、ダメかと思ったら、おもむろに鍵を取り出してくれた。どうやらOKということらしい。
私たちのためにチャペルの照明をつけて、英語の説明書まで渡してくれた。しかも、少し離れた位置にいる小さい娘にまでわざわざその英語のパンフを渡しに行ってくれる。やさしい人だったのだ。(初めコワく思えた顔もにっこり笑うと可愛らしかった。フィンランドにはこういう男性が多い。)
そうして、入れてもらった内部には息を飲んだ。
外からのぞいた時に想像していたのとは別物だった。これだから建築はそこに身を置いてみないと解らないものだな、とあらためて思う。
祭壇のアーチとトップライトが効いている。
神様に抱かれるような柔らかな光。そこでお葬式を挙げてもらったら間違いなく天国にいけそうな空気が立ちこめている。
柔らかな、柔らかな空間。
おじさん、ありがとね。
(・・・こんなショボイ写真では、あの感動が全然伝わらなくて残念。)