今日は父の命日である。
早いもので、もう6年が経つ。
父は相当な読書家であった。
父の蔵書は、数千冊に及び、専門だった法律書を初め、数学、自然科学、宇宙科学、宗教、言語学、文学、等々、様々なジャンルの本がその本棚に並べられていた。
晩年、大きな本棚が幾つも並ぶ大きな家を引っ越すことになったときに、その蔵書も大半を手放してしまった。(ほとんどが寄贈の形なので今も誰かに楽しんでもらえているようだが)
私の家もただでさえ本に溢れている家なので(これは血統?)あまり沢山は引き取れなかったが、それでも100冊程度は譲り受けただろうか。父の本が我が家の本棚に混じっておかれている。
父は、大変なメモ魔でもあった。
気に入った本には、アンダーラインや、書き込みの跡がふんだんに残され、それをたどっていくと父が読んだ時の気持ちに出会えるようで嬉しくなる。
活字好きな父にとって、本は最愛の友でもあったことがよく解る。
難しい数式などが書き込まれていることもあるが、時には本と会話するような、リラックスした書き込みで、「ああ、そう」「よし、わかった」「びっくり!」などと口語体で書かれていることもあって面白い。
新しい本を手に入れた時には、その日付、購入した日付、書店の名前が記号化して書き込まれている。
私がプレゼントした本にも、その日付と私の名前が書き込まれていて、その日のことが思い出されて胸がキュンとしてしまう。
主を失った本。
しかし、ページを開けると父の書き込みのおかげでそのまなざしが甦り、ファザコンだった娘にとって何よりの形見となっている。