「モザイク一家」の国境なき人生
長坂道子
光文社新書
「生粋の日本人である著者が、パリで出会い、結婚することになった相手。
はじめは単なるアメリカ人と思っていたが、よくよく聞いてみるとユダヤ人。
そして、この家族に会いにスイスに出かけると、登場したのは、イラク・バグダッド出身のコテコテのアラブ風の父親(ユダヤ人)と北欧がルーツのモルモン教アメリカ人家庭出身の母親だったーーーー」
カバーには、こんな文章が添えられている。
まずは、彼らにとってはそれからの世界観の外からやってきたアジア人の嫁は、まずは「招かれざる客」としての扱いを受ける。
そして。義父、義母の濃い〜ルーツの洗礼。
言葉の問題、宗教の問題も大きい。コミュニケーションや個人の考え方以前に、簡単には譲り合えないそれぞれの文化的アイデンティティがドンと横たわっている。
一同に集まっても、何語でしゃべって、何を食べるのか・・というところから始まるわけだものね。。
けれど、これだけの血をぜ〜んぶ引き継いだ子どもたちの未来がとても楽しみだ。
家族、親戚と言えども、共通点を見つけられるとしたら人間であることくらい?なわけだから、理解してほしいとか、理解し合いたいとかいう甘い幻想をいだくより、君ら違うねえ、でもこっちはこっちで違うから・・的な距離感でいくしかないんだな・・ということが良く分かる。
しかし、モザイク模様がそれぞれ違う色や形をしていても、一つ一つの模様にそれぞれ何か共通のルールがあるように、このモザイク一家が何を持ってつながって一つのファミリーでい続けられるのか・・あえて聞いてみたい気がした。
「自分が、自分たちが「異者」であることに気づいたり、気づかされたりするとき、それは全然たいしたことではないけれど、まったく素通りもできない時間である。「違い」にスポットが当ったそんな瞬間、ふと足もとがぐらつく。でもまたすぐにてくてく歩き始める。そういう居場所感覚といったらいいだろうか。」
本文より
いずれにせよ、かなりチャレンジングな一家であることは間違いない。
一度ドキュメンタリーフィルムで見てみたい。